「ずっと、愛俚沙がおかしいと思ってたんだ………でも、真実を知るのが怖くて気付かない振りをし続けた、、、、」



ゆっくりと下げていた頭を上げると


桜汰君と同じ優しい瞳がそこにはあった



「大切なのは、1番大切なのはお前なのに………彼女の、花穂さんの言う通りだ。わたしは大切な息子の小さなサインを見過ごしたんだ……………」




「父さんッ−−−」



桜汰君の頭をポンポンと2回叩く



それはまるで小さな子供をあやすように
ゆっくりと動いて桜汰君の頬を包み込む



「誰も、反対なんてしない…幸せになりなさい。」


お父さんはしっかりと頷いた



「ありがとう、、、、」



桜汰君は震える声で返事をして

目を真っ赤にしたまま笑った





「花穂さん………」


「はっ、、ハイ!!」


笑いあった後、お父さんは今度は隣にいる私を見て


「桜汰の事、よろしくお願いします。」



笑顔で手を差し出してくれた



少し、シワが刻まれた大きな手



躊躇いながら握り返す



「私こそ、、ありがとうございます……」



桜汰君のお父さんの手は、とても温かかった





お父さんの温かな手の温もりに答えるように

精一杯の笑顔で返した