愛俚沙さんはカタカタと震えながら私達をキッと睨んだ


「こんな事して平気だと思う!」




桜汰君に突き飛ばされた身体を起こし立ち上がると、大声で叫ぶ


「愛俚沙、、お前こそ、こんな酷いことよく………」


「私は悪くない、、、私は悪くない!!!」



叫びながら桜汰君に掴みかかっていった



「桜汰は私のものなのに……許さない、、、」


「離せ…………」



長い爪を立てて、腕を強く揺さぶる彼女に


小さな


でも


低い声で呟く



「何でよ……私たち上手くいってたじゃない……」



「離せよッ!!!」



声を荒げ、彼女の

愛俚沙さんの腕を勢いよく振り払った



その声に一瞬だけ彼女の身体がビクッとする



「どうしてよ…………」


「上手くなんていってない、、俺はずっと楽な方に逃げてただけなんだ…………
父さんに知られたくなくて、苦しい振りをして、、愛俚沙に従う振りをして………逃げてただけなんだ………」



俺の気持ちは、とっくの昔に愛俚沙から消えてた


本当はいくらでも突き放すことが出来たんだ



だけど、大切な人に知られたくなくて



「じゃあ、、お父様に言うわ……」



「父さん………」



大切な人



俺の唯一の家族、大切な家族に


汚い自分を知られたくなかっただけなんだ………