物………



桜汰君は



「物なんかじゃないッ………」



今日初めて



私は



彼女に対して、怒りをぶつけた



「アナタは母親なんかじゃない!!
本当に彼を想うなら、そんな風に傷付けたりしない!!」



銀星を産んだとき


本当に嬉しくて


「我が子を手にした瞬間、会えた喜びで涙が出るんです…
桜汰君の母親も、そんな風に彼を抱きしめたはずなんです。」




それなのに


「物だなんて………彼の母親はアナタに玩具みたいに扱われて、人生を狂わされるために、桜汰君を産んだわけじゃない!!」



私の親だって


瑛二だって



桜汰君の亡くなったお母さんだって



我が子の成長を願いながら



天国に旅立っていったはず




親は


子供の幸福だけを



願ってる


それは


自分が親になって


初めて分かった事だった




「彼を返して!!私や銀星、産まれてくる子供の家族を返して下さい!!」



涙を堪えながら



叫んだ