「携帯…貸して」


「えっ??」


携帯??


普通なら絶対渡したりしないのに


自分でも不思議なくらい


素直に彼に携帯を渡してた



渡した携帯と自分の携帯を見比べながら何かをしてる



30秒くらい、いじって


「よし、はい♪」


笑顔で携帯を返してくれた


思わず彼の顔を見つめてしまう



「あの…」


「番号とアド交換したから」


「へっ??」


「プッ…花穂ちゃん…」


…ドキン


不意に呼ばれた名前に胸が高鳴る



「今日楽しかったらまた会いたい、近いうちに連絡するから」


「え、、、」


驚く私の前が急に影で覆われた



気付くと桜汰君の顔が近くにある



なっなに!!


ビックリして固くと目を閉じた



「次会う時は、、敬語は駄目だよ?」



って耳元で甘く囁やかれて



うわぁ……


自分の顔がみるみる赤くなっていくのがわかる


桜汰君の吐息がかかった左耳が熱く火照る、、


「じゃあな、銀星!また遊ぼうなッ!!」


「うん、ヤクチョクだよ!!」



意味深な言葉を残して


大きく手を振り

暗闇の中にヒーローは消えて行った




「ママ。おうち入ろっ?」


「う…うん!!」


銀星に気付かれないように赤くなった顔を押さえて


急いで家に入った



銀星と二人だった私の人生



なのに



この日を境に



大きく変わり始める




この夜


瑛二に対して少しだけ


罪悪感を抱きながら


眠りについた




耳元に残る、彼の香りと感触が忘れられなかった