さっきまで笑っていた顔は真顔になり


声は高圧的に変わる



「あの子を傷つけるくらい簡単なのよ?分かるわよね、、」



「愛俚…………」



「フフッ、、人間なんて壊すの簡単なのよ?」



笑いながら、彼女の癖なのか髪をまた弄りだす


その言葉が何を意味するのか悟ったように、桜汰君は私を見た



その瞳は



絶望と



哀しみに満ちていた



「桜…………」



「さよなら、花穂ちゃん……ごめん、、、」




唇を噛み締めて、濡れた髪を拭こうともせず


視線を外す



「愛俚沙、、先に行ってて、すぐに行くから。」



「早くして。」


「あぁ………」



愛俚沙さんはヒールを履いて部屋から出て行った













「桜汰君、、、、」


「花穂ちゃん、ごめん。」



謝りながら、抱きしめれた



「花穂ちゃんや銀星と過ごした日々、絶対に忘れないから…」



「待って、、、、」


「愛俚沙は本当に恐いんだ。俺が戻らなくちゃ銀星を傷つける、、ゴメッ……俺、花穂ちゃんがいるのに何度も、、」


顔は見えない



だけど桜汰君が泣いてるのが分かった



「私、、、、」



「だけどこれだけは信じて。俺には花穂ちゃんだけだから……」



言葉を遮るように




キスをする





雨に濡れた唇は冷たくて




彼の心と同じ体温みたいで悲しくなった