愛俚沙さんの言葉が


頭の中でこだまする



『桜汰の初めては私なの。私とあの子は母親と息子じゃなくて恋人なのよ…………』



母親



息子



恋人



よく分からないよ



「俺は…………」



「この子と付き合ってる間も、何度も寝たじゃない。」



私の前にいる桜汰君の身体がピクッと動く




本当に寝たの………


「桜、、汰君………」



びしょ濡れのシャツを握りしめた



前を向いていた視線が


「花穂ちゃん……」


私を見る



あっ…………



その顔は、雨のせいなのか泣いてるように見えた



「ごめん、花穂ちゃん……」


唇を噛み締めて俯く彼



「謝る必要ないわ。だって貴方が愛してるのは私なんだもの♪」



愛俚沙さんは嬉しそうに桜汰君の影から顔を出す



「お父様には死ぬまでバレないわ♪だから、こんな女に逃げる必要なんてないのよ。」



「花穂ちゃんは!!」


「桜汰。子供が向こうの部屋で脅えてるんじゃない?」



強い口調で言いかけた桜汰君



だけど、彼女は動揺する素振りも見せず


チラッと銀星の居る部屋を見た