何も食べてないのに
腹も減らない……


それよりもやっと君が

花穂ちゃんが俺の気持ちに答えてくれたことが嬉しくて


寒空のなか何度もキスをした


そしてそのまま

彼女の腕を掴んで
さっき買ったばかりの自転車の荷台に乗せた


「どこ行くの?」

「俺ん家。」

「えっ!桜汰君の家!!」


自転車を走らせてる俺の背中からチョコンと顔を出して叫ぶ


その仕草が面白くて口元が緩くなる


「だめ??」

って聞いてみた

そしたら顔を赤くして
『行ってみたい…』って小声で答える


本当はたくさん考えてたんだ


クリスマス前だしイタリアン食べて

夜景を見に行くとか


だけど君の全てを今日俺のものにしたい


その願望が強くて


頭の中で描いていたビジョンが全部吹っ飛んだ


本当なら我慢しなきゃいけない

もっと時間を掛けてからなのかもしれない

けど


好きすぎて

抑えられないんだ


−キキッ…

駅から俺の家までは近くて
すぐに着いた

花穂ちゃんに玄関前で待っててもらい

アパートの駐輪場に自転車を止めた