『好きなんです…』

私の口から自然と出た言葉だった


「花、穂ちゃん…」

目の大きく開いたままの桜汰君と視線がぶつかる

「桜汰君の事、好き…なの。
返事ずっとしなくてゴメンナサイ。私みたいなシングルマザーと付き合うなんてメリットなんかないよね?でも気持ちだけは伝えたくて…」


瑛二がいなくなった日
後悔の気持ちでたくさん泣いた

意地を張って素直になれない自分…

小さな喧嘩を繰り返した自分…


何でもない平凡な日々がとても大切である事に気づいた


だから今度は後悔したくない


いつ消えてしまうかわからないこの世界で
もぉ一度恋することが出来たのなら
それは私にとって奇跡だから


今度は自分に素直になりたい



−−ギュッ

身体が暖かい体温に包まれた


私は桜汰君に
抱きしめられていた


「花穂ちゃん、俺も好きだよ」


抱きしめる力がドンドン強くなる

「本当に私でいいの?銀星だっているんだよ…」


「銀星も花穂ちゃんも俺にとっては両方大切だよ。
亡くなった瑛二さんに感謝しなくちゃな。銀星を残していってくれてありがう…って…」