何度も携帯へかけ直す


だけど全然繋がらなくて


なんで……まさか、事故…


頭の中に4年前の出来事が蘇る


繋がらない携帯


来るはずの大切な人


あの時感じた胸騒ぎ


「あの、すいません…」

たまらず改札口にいる駅員さんに話し掛けた


「6時に着くはずの登りの電車って……」


「あぁ、あの電車事故にあってね。」


えっ…事…故


血の気が引くのが分かった


「あの!!事故って!!」


「線路にね石が置かれてて、急ブレーキの衝撃が凄くてね怪我人も出たみたいだよ。それで今遅れてるんだよ…」


置き石…

桜汰君は平気なの

聞けば聞くほど私の心は不安に染められていく


身体が小刻みに震えて

足がフラフラしてきた


どぉしよ……


また同じなの…


瑛二の時と同じで

桜汰君も私の前から消えちゃうの??


私はまた何も伝えられないまま後悔するの??


おぼつかない足どりでさっきまで座っていたベンチに戻ると


涙が頬を伝う


「イヤ……」


こんなの嫌だよ……せっかく自分に素直になるって決めたのに



「ウッ……ヒック……」


流れ出す涙を抑え切れず顔を両手で隠した


−グイッ!!


「えっ??」


泣いていた私の両手を大きな手が包み込んでそっと下に降ろした


瞳を開いてそっと顔を上げる

「花穂ちゃん!どうしたの!」


電車に乗ってるはずの桜汰君の顔がそこにある

「桜…汰君??」

「なんで泣いてるの?どうした?」


私の前にしゃがみ込んで心配そうな顔で見つめてる


「桜汰君!!」


自然に身体が動いてた

桜汰君がそこにいる

それだけで嬉しくて


目の前にある彼の身体に手を廻し抱き着いていた