「関係ないわよ。努力してなくても、モテるヤツはモテるのよ」


 オレはようやく休むのをやめて歩き出した。

転校生の家も同じ方向だったようで、ついてくる。住宅街を並んで歩いた。


「俺はさ、モテたいから毎日人の倍以上、時間をかけてフェイスケアをしてるし、食生活にも気を遣ってる。それから、逆三角形の筋肉を作るために水泳だってしてる」


「だ、だからナニよ。オレがそうしたらモテるって言うの?」


「いや、無駄だな。それは俺の顔を活かすためにやってるだけだからな。岡田は別の方向に努力すべきだ」


「なによ、別の方向って」


「それは本来自分で探すべきなんだが、例えば笑いだよ。誰よりも面白い人間になれば、かならずモテる」