朝のホームルームが終わった途端、転校生の周りはバーゲンセールの会場みたいになった。

なにも売ってないのに、すさまじい勢いで質問が飛び交う。

「どこから来たの?」「なんでこんな時期に転校してきたの?」「彼女はいるの?」「好きな女の子のタイプは?」


 まったく、どうでもいいことばっかりじゃないの。

もし彼女がいなかったとして、自分が付き合えるなんて思ってるのかしら。


 女の波は、オレの席にまで押し寄せてきた。

クラスでも1位、2位を争うブサイクな女が、オレの左肩にデカイケツをグイグイ押し当ててくる。


「ちょっと岡田、邪魔よ。水野様が見えないじゃないの」


 邪魔なのはアンタよ。ここはオレの席なんだから、座ってるのは当然じゃない。

それを邪魔だなんて、信じられないことを言うわね。


 すぐ隣の席なのに、転校生の姿はまったく見えない。

うるさいのとウザいので、もうなんか転校生まで嫌いになってきたわ。

まだ一言も会話してないけど。