「え?」


「出会いはどうであれ、俺達は今、教師と生徒だ」


…………。


私が心掛けた“普通”もそういうこと──……。

学校では“教師と生徒”でいなきゃいけない。

学校の外でも常に、“人の目”は気にしなきゃいけない。



「一緒に外を出歩いたりすることはあまりできない。お前には無理も我慢もさせると思う」

「でも! それでも私は……!」


一緒にいたい。

離れたくない。


圭吾は、違うの……?



「そう思うけど、……手離すつもりはないんだ。……ごめんな」


そう言った圭吾は、困ったように微笑んだ。


何て言えばいいかわからなくて。

どうしたらいいかわからなくて。


私は圭吾に抱きついた。


ここは学校の中だけど。

でも、誰もいないから、ちょっとだけ──。



「ごめんな……」


そんなこと、言わないでよ。

でも、頭を優しく撫でてくれる。



「ごめんより……好きって言って……」