私の耳には先生──圭吾からもらったピアスが。



「やっと新しいの買ったんだ?」

「……うん」


「……もらったの?」

「えっ!?」


紗依子の鋭い質問に、思わず言葉が詰まる。


「もらったの? 誰から? まさか……彼氏!?」

遥に詰め寄られ、壁に追い詰められた。


「いや……それは……」

──咄嗟に答えられない時点で、認めたも同然だ。


「いいなぁ、やっぱ真央、彼氏いたんじゃん」

「いたわけじゃないんだけど……」


──彼氏、なんだよね。


圭吾っていうのにも慣れなきゃ。



思い出したら、思わず顔がほころんでいたみたい。


「真央、キモイ……」

遥のため息に、紗依子は笑っていた。





「じゃあね」

「ばいばーい」


放課後、掃除当番の遥と委員会だという紗依子。


私は一人で先に帰ることにした。


本当はシフトの日じゃないけど、急に入ってくれって連絡が来たから。



「高岡」

階段を降りようとした時、後ろから声を掛けられた。


「……先生」

振り返ると、そこに立っていたのはやっぱり圭吾。