指先を絡めていた手が強く引かれ、気が付いた時には先生の胸の中に倒れ込んでいた。


驚いて顔を上げてみれば、瞬きをする間もなく、唇には柔らかい感触が……。



「……ん」


後頭部に手が回って、床にそっと倒された。



「そろそろ返事、聞かせてよ」

倒されて、床に散らばった髪がそっとかき集められる。


「ん? ピアス……」

月明かりの弱い光でも、いつものピアスとは違う事に気が付いたのか、そっと耳に触れた。


思わずビクンと肩が上がる。


「これ、どういう意味?」


チュッ


そう聞かれて、ピアスにキスが落とされた。


「どうって……それは……」

思わず目を泳がせてしまうと、先生は目を細めた。


「言ってくんなきゃわかんない」

「……それは、えっと……」


漆黒の瞳が真っ直ぐ私を見つめてる。


好きって気付いたのに、好きって言うのが恥ずかしい……。


言葉に出来ない代わりに、先生の首に手を回した。


「ん?」

首を傾げる先生を、ゆっくり自分に引き寄せた。


暗くなかったら顔を覆って隠したいくらい、顔が赤くなってると思う。


再び触れた唇はやっぱり柔らかくて、温かかった。



「言ってくんなきゃわかんないって言ったのに……」

唇が離れると、そんな拗ねたような声が聞こえた。


「だって……」

改まって言うの、恥ずかしいんだもん。


「普通、キスの方が恥ずかしくない?」

「……うっ……そう、だけど」

「それに恥ずかしがるようなことか? 言えないような気持ちなわけ?」

「そ、そうじゃないけど……。じゃあ、言ってよ」