「……うん」


真っ直ぐに私の目を見て、紗依子は頷いた。

あまりに真っ直ぐで、こっちが少し照れてしまう。



「真央」

「ん?」

「苦しい恋かもしれないけど、真央が一緒にいたいって思う人といてね。話くらいならいつでも聞くし」

「……ありがとう」


苦しい恋。

やっぱりそうなんだよね。


教師と生徒じゃ、苦しいだけしかないのかもしれない。


でも、教師と生徒になる前に、出会ってしまった。


──好きって、気付いてしまった。





紗依子と別れて、私は琢磨に電話した。


『どうした?』

「今どこ?」

『学校出たとこ』

「じゃあ、そっちまで行く。待ってて?」

『……わかった』


交わした言葉は少なかったけど、琢磨は何かを悟ったのかもしれない。

声が、少し硬かった気がする。


ちゃんと琢磨の気持ちに答えなきゃって思った。


自分の気持ち、やっとはっきりしたから。