コクン

また黙って頷いた。


「でも、それも本気なのかどうか……」

「どうして?」

「だって年上だし、好きって言われてないし、からかわれてるだけかも……」


ストローでかき回すと、カラカラと涼しげな音を立てた。


「でも真央はさ。好きって言葉にしてくれた琢磨くんよりも、言葉にしてくれないその人の方が気になるんでしょ?」


──。


そう。

最初に頭に浮かぶのは、いつも──久我先生。



「紗依子ー! 私、どうしたらいい?」

「自分で考えなさい」


そんなぁ……。


厳しい目をしてバッサリ切った紗依子だったけど。


「私としては琢磨くんの方がいいと思う。普通に外でデートできるし、真央を大切にしてくれるとも思うし。でもね」


紗依子は一度言葉を切った。


「でも?」


「真央の心は、もう決まってるんじゃないの?」

「……え?」


「だって、好きって言った琢磨くんよりもその人の方が気になるんでしょ?
どんなに琢磨くんが優しくしてくれても、大切にしてくれても、真央自身は幸せとは感じないと思うよ」