「それは、真央と琢磨くんで決めることだから」


紗依子はしっかりと答えた。

そう、だよね。



「他にいるの? 好きな人」

「……わかんないの」


紗依子はカップを置きながらきょとんとした顔をした。



「気になるんだけど、それを好きっていうのか……」

「真央はさ。その人のこと、無意識に考えたりすることある?」


──コクン

小さく頷いた。


鏡の前のうさぎやピアスを見ると、アイツを思い出す。

ふと、言われた言葉が蘇ってきたり、学校でも無意識に見ちゃってる時、あるし。


「それってもう……好きじゃん」

「だけど、好きになってもいい人なのかな、って……」


だって、学校の先生だし。


「好きになってもいい人ってどういう意味? まさか……不倫?」

紗依子が大きく目を見開いた。


「ちがっ……! そんなんじゃないよ!」

慌てて否定すると、紗依子は安心したような表情を見せた。


不倫なんて私には絶対無理だし。


「その人は、真央のそういう気持ち、知ってるの?」

「好きって言われたわけじゃないけど、気になるって……」


「で、真央も気になるわけだ」