それなのに、紗依子は大きくため息をついた。



「真央はさ、肝心な所で無理するよね」

「……紗依子?」


「付き合いはまだ浅いけど、それはわかるよ。話くらい聞くから」

「……でも、約束……」


「連絡入れとくし。真央が心配することじゃないから」

「……ごめんね。ありがと」


やっぱり私は、困ったような笑顔を向けることしか出来なかった。




それから私達は学校を出て、あまりうちの生徒のいない、少し落ち着いた感じのカフェに入った。


「ごめんね、ホント」

「いいんだってば。で、どうしたの? 琢磨くんのこと?」


「ぐふっ……」

口に運んだアイスティー、吹き出すかと思ったし。


「紗依子、何で……」

「だって彼、真央のこと好きでしょ? 多分、ずっと前から」


紗依子、すごい……。


「……どうして?」

「何となく、としか言いようないんだけど……。真央を見る目はカンペキ、好きな女の子を見る目だよ」


そっか、そうなのか……。


「貴文くんも気付いてるみたいだし、遥もじゃないかな?」

「えっ!? 遥も!?」


だって遥、琢磨のこと好きだったんじゃ……。