「買い忘れたもんがあったって」


戻って来た琢磨は、呆れたようにため息をついた。


「そう」

「何? もう飽きたわけ?」

「ちょっと休憩してるだけじゃん……」

思わず不貞腐れたような返事をしてしまう。


「コーラしかないけどいいか?」

「ん、ありがと」


琢磨はまた階段を下りていった。



男女の友情はあり得ないって人もいるけど、私はあると思ってた。

だって琢磨とは……あの時まではずっと、友達だと思ってたから。


私と琢磨、普通の友達にはもう戻れないのかな。




「ほらよ」

琢磨が戻って来て、思考が引き戻された。


「サンキュー」

「お前さ」

「何?」

「いるの? 好きなやつ」

「ごほっ……いきなり、何よ」

ホント、前触れないんだから。


でも、そう言われて浮かんだのは、やっぱりアイツの顔で……。



「俺は?」

「……え」

気が付けば、琢磨との距離が近くなっていた。




「俺、ずっと見てたんだけど。お前のこと」