窓を打つ雨の音が部屋に響いてるけど、それ以上に私の心臓がドキドキと音を立てている。


何で……?


何で自分がドキドキしてるのか、わからない。



「何……?」

「え?」

「渡したい物って……」

「あ、あぁ。コレ」


さっき取って来た小さな紙袋を目の前にかざした。


何?


「お前にやるよ」

「え?」

「開けてみな」


ポンッと手の平に乗せられたそれを開けると──。



「ピアス……」


何で?


「それ、もう取っていいんだろ?」


確かに、一か月くらい経てば違うのをしてもいいって言われた。


だけど、新しいピアスはバイト代が入ってからでもいいや、と思ってそのままファーストピアスをしていたのだ。



「何で……」

「別に」


私のマネをしたつもりだったのか、言った後にニヤッと笑った。


……ムカツク。


胸を叩いてやろうとこぶしを握って振り下ろした手が、いとも簡単に掴まれた。


そして、もう片方も掴まれて、ソファに押し付けられた。


半分寝かされたような格好になって、すぐ目の前には先生の顔、その奥に天井が見えた。



「ちょっ……」



「俺のこと、嫌いじゃなかったら受け取って」

「……え」


何、言ってんの……?


メガネのない、真剣な表情をした先生に、心臓のドキドキも増していた。


「どういう、意味……? 何言って……んの?」

「最初から言ったじゃん。お前のこと気になるって」

「ちょ……まっ……」


掴まれた手首が熱を持つ。