テレビとソファとテーブルだけのシンプルな部屋だった。



「着替えた方がいいと思うけど……」


私は首を横に振った。


「……別に襲わねーよ?」

「…………」


つい疑いの眼差しで見てしまう。

だって、ナンパするようなヤツだし。



「わかった。言い方変える。それじゃソファが濡れるから着替えてこい」

「……じゃあ帰る」


「傘ないのにどうすんだよ?」

「……濡れて帰る」


「風邪引いたらどーすんだよ?」

「……別に、関係なくない?」


その言葉を聞いた瞬間、先生は笑い出した。


「あの時と同じセリフだし!」

「……っ」


しょうがないじゃん、つい出ちゃったんだもん。


「着替えてこいよ。あったかいモン用意するから」

そう言って奥の部屋に入り、着替えを持って出てきた。



「脱衣所、そこな」

廊下の一角を指さして、私に着替えを押しつけた。


「…………」



これ以上抵抗する言葉が見つからなくて、仕方なく指定された場所に行った。


男の人にしてはきれいにしてる方なのかな?

脱衣所もシンプルだった。


渡されたTシャツにスウェットを着たけど……デカイ。

Tシャツだけでワンピースになりそうだ。