「学校始まって落ち着いたらさ、飯でも食いに来いよ」

「うん、ありがと……」


中学時代は一緒にバカなことばっかりやってたけど、こうしてみると琢磨がちょっと大人に見える。




「お前、引っ越したんだろ?」

「うん。あの家は広すぎて……。今度遊びに来て」

「泊まっていいの?」


「……バカじゃないの」


琢磨といると安心するのと同時に、昔を思い出して少し苦しくもなる。





「じゃ、おばさんによろしくね」

「あぁ、明日、学校でな」


他愛もない話をして、私達は店を出た。


新しい家は琢磨とは路線が違う。

私達は駅の改札前で別れた。



琢磨の背中を見送って私は……繁華街へ戻った。


まず、病院に行ってピアスの穴を開けた。

ピアスの穴を開けたら運命変わるって言葉を急に思い出したから。


それから、ドラッグストアでヘアスプレーを買って、化粧品を試したいと言ってフルメイクをしてもらった。





そして、あの男と出会ったんだ──……。