高校の入学式を翌日に控えた夕方。
私は電話で呼び出されて繁華街へ行った。
「待った?」
待ち合わせに指定されたファーストフード店でジュースを飲んでいたら、そう言って隣に座った男。
「遅いよ」
「ごめん」
「……嘘。来たばっかり」
微笑むと、彼も笑った。
彼、結城琢磨。
同じ中学校で、これから通う高校も一緒。
──親族以外で私の今の現状を知ってるのは琢磨と琢磨のお母さんだけ。
お母さん同士が仲良かったんだ。
おばさんと一緒にお通夜にも来てくれたけど、ちゃんと挨拶できなかったな……。
「なんか、痩せたな」
「そう? きれいになった?」
そう言っておどけて見せても、琢磨は悲しい顔をするだけだった。
「ちゃんと食えよ」
「うん……」
でもね、何を食べても一人じゃおいしくないんだよ。
「お袋も心配してたぞ」
「うん、ごめん……」