交通事故死ということで、お父さんとお母さんが掛けていたという保険金が支払われた。

合格した高校は公立だったから、高校を卒業出来るくらいのお金はあるとと叔母さんは言っていた。



でも、お金なんていらない。

お金返したら、お父さんとお母さん、返してくれる?



……そんなこと出来ないってわかってるから、もちろん口にはしなかった。


叔母さんにこれ以上、心配も迷惑も掛けたくないし。


遠方にも関わらず、ずっと傍にいて、一番良くしてくれた陽子叔母さん。


保護者の代わりとして学校に手続きにも行ってくれた。




「この家、どうする?」


一階のリビングで陽子叔母さんと向かい合って座ったのは、三月も後半に入る頃だった。


「一人じゃ……広すぎるよ」

紅茶を淹れ、叔母さんが買ってきてくれたケーキと一緒にテーブルに並べた。


「でも、思い出いっぱいあるでしょ?」

「……ありすぎて、辛い」


「…………」


叔母さんは表情を曇らせた。