「……え?」
それって……まさか……。
「いつっ!?」
気が付いた時には、腕に掴みかかって琢磨を揺さぶっていた。
「二年になってすぐくらい」
「何て!?」
「お前が泣いてたら慰めてやってくれって」
「嘘……」
震える手で口元を覆った。
「俺には譲りたくないけど、どうしてもお前が立ち上がれないようだったら支えてやってくれって」
それを聞いた瞬間、涙が溢れた。
「自分から勝手にいなくなったクセに、独占欲ってどういうことだよ」
泣き出した私を、琢磨はそっと抱き締めた。
「今でもあいつを追いかけてる女、どうやって振り向かせりゃいいんだよ」
頭の上で、ため息を混じらせる琢磨の声がした。
「俺もあの会、声掛ってるから後でな」
私が泣き止むまで、琢磨はそっと抱き締めて背中を撫でてくれた。
圭吾のことを思って泣かない日は、いつになったら来るんだろう。
これからは別々の道を行くんだし、琢磨に頼ってばかりいるのはやめないと。
琢磨とは反対の電車に揺られ、家に着いた。
「…………」

