「……琢磨」
昇降口に着くと、琢磨が下駄箱に寄り掛かって立っていた。
「もう帰ったのかと思ったけど、靴あったから」
「どうしたの?」
「一緒に帰ろうと思って。今日で最後だし」
「……そっか。そうだね」
琢磨と一緒にこの道を歩くのも、今日で最後。
そう思ったら……少し寂しい。
「……あいつから、連絡は?」
琢磨から圭吾の話が出て、少しびっくりした。
今までは気を遣ってか、名前も出さないようにしてくれているのがわかってたから。
私は黙ったまま首を横に振った。
「そっか」
「うん……」
しばらく無言のまま歩いた。
もうすぐ駅に着く頃、今まで黙ってた琢磨が口を開いた。
「……怒られんの、覚悟で言うけどさ……」
だけど、そう言ったきり、また口を閉ざした。
「何? 私、何かされたっけ?」
冗談で睨みながら琢磨を見た。
「……、連絡、来たんだ、一度だけ」

