クラスで卒業パーティーみたいなものをやるらしく、一旦着替えてカラオケ店の前に集合ということになっていた。
遥はどこかに寄ると言って、先に淳くんと一緒に帰った。
紗依子も彼氏が迎えに来ていた。
みんなを送り出して一人になった時、ふと、準備室に足が向かった。
誰もいない静かな一角。
ドアを開けてみても、もちろん圭吾の姿はない。
新しい先生が来てから、たまにしか入ることのなくなったこの部屋の雰囲気もずいぶん変わった。
──色んなことがあったな。
あの頃と変わらず真ん中に置かれたテーブルにスーっと指を滑らせる。
前日に初めて会った男と、まさかこんな場所で再会するとは思ってもなかった。
この部屋で、キスをしたこともあったっけ。
圭吾のこと、こんなに好きになるなんて……あの時は思ってもなかったよ。
こんなに好きにさせておいて、どうして今、傍にいないの……。

