卒業後、遥と淳くんは少し遠いけど同じ専門学校へ。

紗依子は女子大、琢磨と貴文くんはそれぞれ近くの大学に進学することを決めた。


私は──大学へは行かず、就職することを選んだ。


大学に行ってまで勉強したいことも見つからなかったし、両親の残してくれたお金に頼るんじゃなくて、自分で稼ごうと思ったから。

小さな会社だけど、希望だった出版業界だからやりがいはありそうだ。





圭吾がいなくなってから、連絡は一度もない。


もしかしたら、番号変わってるかもしれないね。


だけど私の携帯には、今でも一番に登録してあるよ。



圭吾は今、どこにいるの?


私、今日、卒業式だよ。


もう、生徒じゃなくなるんだよ……。





「写真撮ろうぜ!」


式が終わって、淳くんが遥を迎えに来た。

……ずっと仲良くいて欲しいな。


「真央も紗依子も! 琢磨くんも貴文くんも呼んでみんなで撮ろうよ!」

「最初からそのつもりだし」


淳くんの後ろから、琢磨が顔を覗かせた。

その奥には貴文くんの姿もある。



「じゃ、撮ろう!」

近くにいた男の子をつかまえて、

「ハイ、チーズ!」



最後の制服姿をカメラに収めた。