ふと目を開けると、ベッドに寝かされていた。


琢磨はベッドに寄り掛かって、座ったまま寝ている。


部屋は暗く、時間を確認すると夜中だった。


泣き疲れて眠ったのか、まぶたは重いし頭も痛い。



琢磨を起こさないようにベッドから抜け出して、目を冷やそうとキッチンに向かった時、鏡の前のうさぎが目に入った。


──圭吾が残してくれた物のひとつ。


ピアスはずっとつけたままで、指輪とペンダントはケースに入れてある。



色んな物は残ってるのに、一番いて欲しい人はいない。



「圭吾……」



今どこにいるの?

どうしていなくなっちゃったの?


ふと手を伸ばした時、うさぎの足元から何かが落ちた。


「?」


きらっと光って転がったそれに手を伸ばす。

どうしてこれがここに……。


「……真央?」

目を覚ましたのか、琢磨の声がした。


だけどその声に振り返ることは出来なくて、座り込んでそれを胸の前で握り締めた。


「どうした?」


うさぎの下にあったのは、圭吾が大切にしていたあの指輪だった。


「…………っ」



“いつか取りに行くから”



勝手かもしれないけど、そう言われてる気がした。



──待ってる。


大事にしているこの指輪を取りに来るって、信じてる──……。