モノクロ

「真央、食べないの? 具合悪い?」

「……」


紗衣子が気に掛けてくれるけど、それにも応えられなくて曖昧な笑みを返す。


「顔色悪いよ? 保健室行った方が良くない?」

紗衣子に背中を擦られて、涙が出そうになった。


「……そうする」

「一人で大丈夫?」

「ん……」


ふらふらと立ち上がって、私は保健室に向かった。


とてもご飯なんか喉を通らない。


話をしてる余裕もない。


圭吾、どうして?

圭吾……。




「真央!」

食堂を出ると、琢磨に腕を引かれた。


「大丈夫か? 顔色悪いぞ」

「……保健室、行ってくるね」


そっと琢磨の手を払い、覚束ない足取りで保健室に向かった。





幸い、と言うべきか、保健の先生はいなかった。

ベッドを囲うカーテンを閉め、ベッドに座り込む。


”ごめんな”


ふいに聞こえた圭吾の声。


ごめん……って何?


昨日、腕の中で聞いた言葉は”愛してる”だったはずなのに。



スカートのポケットに入れていた携帯を取り出した。

着信もメールもない。


リダイヤルから圭吾の番号を呼び出しても、返ってくるのはアナウンスばかり。


どうして繋がらないの?


今、どこにいるの?