今日も学校だし、先に帰ったのかと思ったけど、メモもメールもない。


「…………」


今までになかったことに、急に不安が押し寄せて来た。


「圭吾?」

玄関に行くと、圭吾の靴はなかった。


何も言わないで帰るなんて初めてのこと。


『お掛けになった電話は電波の……』


携帯に電話してみても、電源が切れているのか繋がらない。


「……あれ?」


右手の薬指に、いつのまにか圭吾がクリスマスにくれた指輪がはめられていた。



「どうして……」

いくら考えてみてもわからない。



とりあえず学校に行く準備をしようと着替えた時、胸に赤く小さな花が咲いていることに気が付いた──。





「おはよう」

「おはよー」


いつも通り挨拶をして席に着くけど、胸騒ぎは収まらない。


来る途中にも電話を掛けてみたけど、やっぱり繋がらなかった。



「席に着きなさい」

そう言って教室に入って来たのは……学年主任の先生だった。



……どうしたんだろう?

圭吾は?



「まずはみんなに報告がある」