部屋を出て少し行った所に、琢磨が立っていた。


「琢磨……」



あの日……ひどいことをした私に、琢磨は変わらず優しくしてくれた。


一緒に遊んだり、家に行ってご飯をごちそうになったり。


琢磨なりに気を遣ってくれてた。



「ついてこいよ」


……確かにここじゃ出来ない話だよね。





琢磨の後について行くと、文化祭の時に一緒にご飯を食べた裏庭のベンチに腰を下ろした。


「何だって?」

周りに誰もいないことを確認してから、琢磨が切り出した。


「いきなり学年主任が出てきてさー、焦ったよ」

私は出来るだけ明るく言おうと思ってるのに、琢磨の表情がそれを許してくれない。


「無理すんな」

琢磨の一言で、途端に情けなく眉が下がってしまう。


「……写真、あったでしょ?」

「教室に貼られてたやつか?」


琢磨は、予想していたかのような表情だった。


「ん。あれに写ってるのは私だって密告っていうの? があったらしい」

「……誰がそんなこと?」

「わかんない」

私は俯いて首を横に振った。