「一か月程前だったか。久我先生と女性の写真が教室に貼られたことがあったね。覚えているか?」

「はい……」


──圭吾と私の、クリスマスの時の写真だ。


「本来なら久我先生は独身だし、そういう写真が出回っても問題はない。まぁ、騒ぎを起こし、風紀を乱したという点では問題だが……」


先生はそこで一度言葉を切った。


「ただ、最近になってその女性が君だと言う情報が寄せられた。だから、久我先生にも君にも話を聞こうということになって呼んだんだ」

「誰が、そんなこと……」


先生は黙って首を横に振るだけだった。


思わず隣りにいる圭吾を見た。


「こんなことに巻きこんでしまってすまない。君は無関係なんだから、堂々としていればいい」

私の視線に気付いた圭吾は、困ったように眉を下げて言った。


でも……疑いを掛けられた圭吾はどうなっちゃうの?


「最後にもう一度聞くが、本当に交際の事実はないんだな?」

「……はい。ありません」

「よろしい。それでは君は教室に戻りなさい」


圭吾はどうなるの?


見ると、圭吾は小さく微笑んでいた。


「いやな思いをさせて悪かったな。もう戻っていいぞ」

「……はい」


これ以上ここでは何も聞けなくて、私は一人、部屋を出た。