涙が頬を伝って落ちた。


圭吾とは違う温もりだと思った。


当たり前だよね。


今、私を抱き締めてるのは、琢磨なんだから。



違うの。



私が欲しいのはこの手じゃない。


だけど、一人でいるのも辛いよ……。


小さくシャツを掴むと、さらに強く抱き締められた。


「……っ」

「……俺にしとけよ」


耳元で琢磨の熱っぽい声がする。


「俺だったら泣かせない」


きつく抱き締められて身動きが取れないながらも、私はもがくように首を横に振る。


「俺だったらいつでも抱き締めてやれる」


それでも左右に首を振る。


圭吾じゃなきゃ……ダメなの。



「お前、やっぱりバカだな……」

頑なに首を横に振る私に、琢磨はため息をついて腕の力を弱めた。


だけど、緩むだけで解放されることはなく、私は変わらず琢磨の腕の中にいた。


「泣きたいだけ泣け」

そう言って頭を撫でられると、涙が止まらなくなった。


「……けい、ご……」

一瞬、撫でていた手が止まった。





琢磨の腕の中で、圭吾を呼ぶなんて私、最低だ──……。