周りに誰もいないことを確認して、琢磨が口を開いた。

コクン、と黙ったまま頷く。


「撮られたこと、気付いてなかったのか?」

「全然……」

「心当たりは?」


心当たり──……。


そう言われて一瞬、あの手紙の人が思い浮かんだけど。


「……ない」

「ま、あいつ人気あるからな。他の誰かが逆恨みってことも……」


小さく震える手をぎゅっと握り締めた。

圭吾が辞めさせられたらどうしよう……。



「真央」


琢磨の強い声に顔を上げた。


「隠し通せ。お前のためにも、あいつのためにも。別に不倫ってわけじゃねーし、相手がお前だってバレなきゃ、こんな騒ぎすぐに収まる」


「……ん」





チャイムが鳴ったから教室に戻るとすでに圭吾がいて、写真はなくなっていた。


「先生、あれって彼女?」

「ラブラブじゃーん」

なんて冷やかされていた。


「まぁな。じゃ、出席取るぞー」

圭吾はいつも通りな感じだったけど──何かが違って見えた。



大丈夫なのかな……。