そう思ったら、あの時のことを思い出した。

圭吾が帰って来て、思わず抱きついた私。


──クリスマスの日だ。


「でもなんでわざわざ、こんな写真張ってあるんだろう? 別に独身なんだし、彼女いたって問題ないのにねー」

「そ、そうだよね……」


亜紀ちゃんがそう言って笑うから、私も慌てて笑顔を作った。


それからそっと、輪の中から外れた。




「おはよう!」

後ろから声を掛けられ、思わず肩が跳ね上がる。


「……遥」

すぐ後ろには一緒に来たんだろう淳くんの姿もある。


「真央? どうしたの? っていうか何? あの人だかり」

「久我先生の……写真、だって」


「久我っちの?」

遥はそう言いながら写真を見に行った。



どうしてあんな写真があるの?

どうして学校に張ってあるの?



「真央、ちょっと」

巡らせていた思考を止めたのは、琢磨だった。


腕を掴まれ、そのまま屋上まで連れて行かれる。





「……あれって、お前?」