「真央」


優しい声が降って来る。




「……圭吾の元カノって、どんな人?」

「はっ?」


胸に顔を埋めたまま聞いたら、本当に驚いたような声がした。


「何? いきなり?」

「聞いてみただけ。……元カノなんて、いっぱいいるもんね……」

「いっぱいって……。まぁ、俺様だし、否定はしないけど」

「……そこ、否定しようよ」


”俺様”って言葉に、圭吾と琢磨ってそういう所がちょっと似てるよね、って思ってしまう。



「……手紙」

「え?」


「……夕方、女の人が手紙、入れてった」


今言わなくても良かったのに、って思ったけど、気が付いた時には声に出していた。




「……そう」

だけど、圭吾の返事は予想してないものだった。


「そう、って……」

「ほっといていいよ」

「でも……」


私は顔を上げた。

すると、そこには優しく微笑む圭吾がいて。


「そんなのいいよ」

チュッと音を立てて頬にキスをした。



「今はベッドに行くのが先」

「はっ? ちょっ……えっ!?」


圭吾に抱き抱えられ、あっという間にリビングを通り過ぎ、ベッドに下ろされた。



「いきなり飛びついてきたのにはびっくりしたけど、かわいかったなぁ」