その間にもキスの雨が降ってきて、息継ぎもままならない。


もう一方の手は胸の辺りを大きく開けて、首筋にも胸元にも、唇が落とされる。


私の荒い呼吸と、衣擦れの音が、静かな空間に溶けて消えた。


「いいね。そそられる」

胸元に埋めた唇が動いてそこを刺激する。


「待って……よ」

「すげー色っぽい」


「けい、ご」

「もう終わっただろ? だったら脱がせてもいいじゃん」

「こんな……とこっ、で……」


「最後まではしない……けど、もうやめとくか」


軽く言って、私の体を起こした。

私は乱れた呼吸のまま、テーブルに座ったようになる。


「ちょっと、やり過ぎたな」


太ももは露わになり胸元は大きく肌蹴け、頬は熱いし目の前の圭吾はうっすら浮かぶ涙でゆらゆら揺れていた。



「誘うなよ」

「……っ誘ってない!」


「浴衣のまま帰せば良かったな……」

「圭吾がこんなにしたんじゃない!」


潤んだ瞳で睨んでも、何の効果もないけど……。


「失敗した……」

頭を掻きながら、包み込むように私を抱き締めた。


「……っ何が!」





この行動が琢磨に対する嫉妬からだってこと、私が知るのはずっと後のこと──。