「何してんの?」

すっかり乾いた髪の毛をして、ケンジが戻って来た。


そして、当たり前のように私の上に跨った。



「ここでいいよな?」

「ちょっ……と待って……」

「何? やっぱりベッド行く? ……まさか、初めてってわけでもないだろ?」

「…………」


……初めてだって言ったら……やめる?


見つめた瞳にケンジは悟ったのか、一瞬目を大きくしたけど、またすぐに細めて言った。



「……なら、優しくするし」

そう言って、私の首筋に顔を埋めた。


乾いた髪がサラサラして、頬をくすぐる。


「…………」


初めて首筋に人の唇が触れ、その部分が熱を持つ。

覚悟を決めて目を閉じた──その時。





「何かあった?」


首筋でしていた感触と息遣いがなくなった。


目を開けると、至近距離で私を見つめる真剣な瞳。



「……何、で?」

一時的でも止まってほっとしてるはずなのに。




「無理してる気がするから」