モノクロ

視線を逸らし、淹れてくれたコーヒーに口を付けた。



「真央の浴衣かぁ」

隣りに座った圭吾が、想像してるのか、煙草を吹かしながら天井を見上げた。


「遥のお姉ちゃんのやつを貸してもらうから、どんなのかまだわかんないんだよね」

「都築のねーちゃんって、美人そうだよな」


「……それって、遥から想像してるの?」

「そう」


……遥から想像してるってことは、やっぱり遥のこと、美人だって思ってるってことだよね。


「……一度見たことあるけど、きれいな人だよ」


「まーお」


煙草を灰皿に置き、俯いた私の手からコーヒーを取り上げ、肩を抱き寄せた。


「またヘンなこと考えたろ?」

「ヘンなことって……何」

「お前、不安そうな顔してる」

「そんなこと……」


頬にチュッと音を立てて、キスされた。


「俺がどれだけお前に溺れてるか、わかってんの?」

「……わかんない」


だってきっと私の方が、圭吾のこと好きだもん。


「お前なぁ……」

「だって……圭吾は、私のどこが好き?」


今まで聞きたいと思ってて、ずっと聞けなかった。