「持ってるよ」

「私は……中学生の時に買ったやつだからヤだなぁ……」


圭吾と一緒にお祭りに出掛けたりしたけど、浴衣が子供っぽかったから着なかったんだよね。


「お姉ちゃんので良かったら貸すよ?」

「ホント? ありがとー!」


遥にはお姉ちゃんがいて、一度会ったことあるけどすっごいきれいな人だった。


紗依子にはお兄ちゃんがいるらしい。

妹って感じ、しないんだけどね。



「目指せ! 売上ナンバーワン!」


販売系で一位になったクラスには何か景品が出るらしく、それで遥と淳くんは燃えてるんだ。


「うちは女子も男子も美形揃いだし、きっとイケる!」


──遥が浴衣で笑顔を振りまいたら、男性客殺到だろうな……。





「ところでお前、浴衣なんて持ってんの?」


数日後、予定の合った私達は、いつものように圭吾の部屋で一緒に過ごしていた。


「夏、着なかったじゃん」

「だって、中学生の時のだから、子供っぽいんだもん。それに、一人じゃ着られないし……」


「ま、俺も着付けなんて出来ないしな」

圭吾は煙草を咥えてニヤッと笑った。


「……何するつもり……?」

「言ったほうがいい?」


「……いや……いいです」