「おはよー……って真央、どうした?」

「おはよ……ふぅ」


教室に入るなり、崩れ落ちるように椅子に座った。


「遅刻ギリギリなんて珍しいじゃん?」

「ちょっと、ね」


「寝坊したの?」

「……まぁ、そんなとこ……」


それを最後に、私はそのまま机に顔を伏せた。





昨日、結局お風呂の中で長い時間を過ごした私達。

お風呂から出た後も……。


気が付いたら朝で、一度家に帰る圭吾を送り出した後、つい二度寝しちゃって……。

遅刻ギリギリで、慌てて学校に来たってわけ。



着替える時に気が付いたんだけど、胸の花がひとつ、増えてた。


──圭吾ってばいつの間に……。





「席着けー。HR始めるぞー」

落ち着く間もなく、圭吾が教室に入って来た。


「出席取るぞ。欠席は、……なしと」

……それって、出席取ってるって言えるのかな?


そんなことを思いながらぼんやり圭吾を眺めた。


私とは反対に、いつも通りしっかりしてるし。


同じくらい寝てないはずなのになんで……。



「高岡ー」

「……はいっ」


いきなり名前を呼ばれて、思わず背筋が伸びる。


「どうした? 寝不足か?」