「あれ取るのすっげぇ大変だったんだ。大金つぎ込んだ甲斐あったわ」

「えっ!? 大金!?」

「嘘」

「……もう!」

「ケーキ、食おう」




圭吾が傍にいれば、こんな普通の時間も幸せに感じるの。

こんなに人を好きになったのは初めて。


どうしてこんなに夢中になってるのか、自分でも不思議だけど。

今まで好きになった人と、圭吾は何が違うんだろう。





──チャポン



何で今、こんなことになってるんだろう。


「……うぅ、やっぱり恥ずかしいよ……」

「今さら何言ってんだよ」


今、“何でも言うこと聞く”の威力が発揮されてる最中。


「いいじゃん、入浴剤入れてて何も見えないんだし」

「そういう問題じゃないし……」

「本当は何も入れたくなかったのに……」


圭吾は後ろから私を抱えるようにしながら、何やらブツブツ言ってる。



──というわけで現在、うちの狭いお風呂で一緒に入浴中。


今までずっと恥ずかしくて拒否してたんだけど、今日の“王様発言”でようやく実行、ということらしい。




「全部見てるんだし、今さら恥ずかしがることじゃなくね?」

「そういう問題じゃないんだってば!」

顔が熱いのは、お風呂のせいにしておこう……。


こんなことになるって思ってなかったけど、入浴剤があってホントに良かった。



「ちょ……圭吾」