「……何で知ってんの?」


つい言ってしまったら、圭吾は驚いたように目を大きくした。


「久我先生の情報は黙ってても入ってくるんですー」



そう、私が圭吾の誕生日を知ったのは、つい最近のこと。

しかも、本人から直接聞いたわけじゃなくて、圭吾のファンの女の子達が廊下で話してるのをたまたま聞いちゃったから。



「久我先生、モテるもんねー」


……ホント、それが一番心配。


先生達の中でも若いし、やっぱりカッコイイと思うから、女の子のファンがすごく多い。



「何? ヤキモチ?」

ニヤッとしながら煙草を咥えた。

「違うし」


……嘘。

ホントは心配。


私を選んでくれたけど、もし、私と出会ったのがあの時じゃなかったら、他の誰かを選んでたかもしれないって思うことがある。


かわいい子なら他にもいっぱいいるし、勉強の出来る子だって。


そもそも、全然別の、大人の女の人だったかもしれない。


圭吾はどうして、私を選んでくれたの?



「……何考えてんの?」

「別にー」


「真央は俺のこと、好き?」

「……わかってるくせに……」


唇を尖らせてそっぽを向くと、圭吾は立ち上がった。