「咲ちゃんには何かあったんですか、」



海斗は黙ったまま俯いていたがやがて後ろを向き口を開き始めた。



「俺は、こいつを守るために生きてきた。
こいつが幸せに暮らせるように須崎さんに頼んで俺の目が届く範囲の学校にも入学させた。
咲は…過去を覚えてない。
精神的苦痛のせいで記憶の一部が抜けている。」


海斗は視点の合わない目でどこか遠くを虚ろに見つめている。

外はいつの間にか雨が降り出し雷の音が響いていた。



天気予報は晴れのはずだったが………。