「曽我副委員長登場ー」


黒染めを終えた俺は、渡邊と共に体育館を訪れた。


「うぉ!?ジュン黒髪何気に似合うし」


最後尾にいた陽平が俺の染めたばかりの髪を触る。


「ねぇ、曽我くん。副委員長って?」


隣にいた川井田が身を乗り出して聞いてくる。


「この度学級委員をすることになりました」


大袈裟に改まった様子で言う俺に、一同唖然。


「僕、優等生ですから」


前髪を七三に分けながら言う。


爆笑の渦のはずが、陽平以外が静まりかえる二年A組。


「ん?」


異様な雰囲気に戸惑い、川井田を見る。


「…渡邊さん狙いならやめといたほうがいいよ?」


小声で耳打ちしてくる川井田。


「は!?」


突然の的外れな忠告に、今度は俺が唖然とする。


「ならいいけど」


心底ほっとしたように、川井田が笑う。


「曽我くん、学級委員は前だよ」


相変わらずにこりともしない姫が、呆れたように俺を呼びに来る。


俺は陽平や川井田に声を掛けると、彼女に付いて列の先頭に向かった。