「疲れたぁあああ!!」


横で両手を挙げて伸びをする來也が見える。
來也は高校3年の先輩を差し置いてサッカー部の副部長だしな・・・疲れて当然だろう。


「雅人は疲れてないのかよ!!さわやかな顔しやがって!!」


來也は俺におもいっきり蹴りを入れるが俺はその蹴りを足で止める。
柔道部をやって小さい頃から合気道をやってた俺には痛くもない止めやすい蹴りだ。
ってか、さわやかな顔ってなんだよ。。。


「ちぇ。。。雅人の無口バカ!!」


來也は舌をべーっとして俺を睨む。
來也よりも背が高い俺は來也を見ると見下すようになってしまい、ビクッと來也の身体が動く。

俺は周りから恐いと言われやすい。
背が異常に高いうえに、目つきが悪いからだ。
柔道をやってる俺には丁度いいが。。。


「雅人のバカ!!人でなし巨人め!!」


睨まれたと勘違いし恐いのと、背が高いのを羨ましがる來也は暴言を吐く。


「人でなし巨人で結構w」


俺が笑ってそう言うと來也は「俺もだけどねw」と笑う。

俺らは笑いながら道を歩いていた。
すると、目の前に猫が現れて俺らに近づく。


「ぉお!!黒猫!!」


來也は猫の頭をなでて、持ってたパンをあげる。
猫は俺の足にすがりつくようにゴロゴロ喉を鳴らす。


「ぇえ!?俺が餌やったのに!?」


ちょっと悔しそうな声が隣から聞こえ必死に猫にアピールする來也。
猫は飽きたのかフラッと歩き出し道路に飛び出した。


「あ!!」


來也が残念そうな顔をして猫を見る。
猫は道路の真ん中で頭を掻いていた・・・車が近づいてきてるのに。。。


「危ない!!」


來也は轢かれそうになる猫を助けるために道路に飛び出す。


「バカ!!來也!!」


俺は來也を止めるが來也は無視をする。
しかたがなく、俺は來也を追いかける。




俺は意識を失った。




覚えているのは・・・猫を抱えた來也とクラクションを鳴らす車。
來也を歩行者側に突き飛ばした俺の右手。



俺は死んだのか??