「殿のおなり」


周りにいた武士らしき男等は一斉に正座をする。
扉から威厳の強そうな男が入ってきて周りに座っていた男等は頭を下げる。

コイツが殿様か・・・。


「頭が高い!!」


俺らを此処まで連れてきた馬の男が俺らの頭を押さえ付ける。


「城厳そのままでいい」


男は殿に言われ戸惑いながら頭を下げる。
こいつ城厳って名前なんだ。


「儂はこの城の殿、名は佐伯鈎柾じゃ」


鈎柾は優しい声で俺らに話しかける。


「・・・鷹乃宮 雅人です」

「中野 來也です!!」

「ほぉ・・・変わった名じゃのぉ」


近くに座っていた武士らしき男が呟く。


「変な服を身につけておるな」


さらにその隣の男も呟く。


「はて・・・お主等は清水の遣いか??」


鈎柾はさっきの優しい声とは違い厳しい声で話す。

清水??誰だそれ・・・。


「ぃえ・・・違います」


俺が答えると同時に來也の声も聞こえた。


「なぁ・・・清水って誰??」

「お主口の聞方に気をつけよ!!」


近くにいた武士らしき男が刀を握る。


「よさぬか!!」


その男に鈎柾は怒鳴る。
男は渋々と刀から手を離し座り直す。


「お主等は清水を知らぬのか??ならば新田の遣いか??」


新田??新田って歴史で習ったあの新田??


「新田って・・・新田義貞だよね??」

「はて??誰じゃそれは・・・儂が言っておるのは新田貞於のことじゃ」