ドキドキしていた。

心臓の鼓動が速い。

…と思った。


来島は、一通り、クラスを見渡した。


だが。


一人のところで、視線が止まった。


…笠川だ。



「…っ」


笠川は焦った。


なぜ見つめられているのか

全く見当がつかなかったからだ。


あわてる、ドキドキする、

このままどこかへ走りだしたかった。



しかし、

しばらくすると、

笠川のドキドキは、

冷汗にかわった。


来島の視線が、しごく、しごく冷たいものに

変わったのだ。


ギラリと、冷たく、

冷たく―――――…。



笠川は、気がついた。



この、髪の色!!



進学コースに金髪がいたら、

びっくりもするだろう。

しかし、来島は、


明らかな拒否を示したのだ。



笠川は、あのまま寝たふりをしていたかった。

そうすれば、泣くこともできたのに、と。