…コー…ン カーン…ーン…



ホームルームが始まる時間の鐘が、

遠く聞こえる。

目をあけるつもりはなかった。


ついつい、と

宇津見が横腹を指でつついた。

けれど無視した。



余計なおせっかい…。



担任の声がする。

委員長が、「起立」といった。


礼、といった。


着席、を噛んだ。


ぷ、と笑ってしまったが、

起きようとは思わなかった。


先生の話は、なんとなくきいていた。




「えー、突然ですが、

急きょ、進路変更により、

このクラスに編入してくる者がある。

入ってきたまえ」



誰だろ…?



このクラスは、進学コースとかいうらしい。


大学にいくことが目的なのだそうだ。

知らないけれど。


ガラガラ、とドアがあいた音がした。


コツコツ、と歩く音。


ぴたりと止まった。

教壇の前に立った。


ああ、いよいよしゃべるんだろう。